
育休中のふるさと納税は上限が激減します|見込みで寄付して超えた僕の話
育児休業給付金は非課税なので、税金の計算上は収入に入りません。だから育休を取った年はふるさと納税の上限額が大きく下がります。さらに配偶者控除と医療費控除が重なると、上限はもっと下がる。最悪の場合、控除する税金がなく全額自己負担です。見込みで寄付して上限を超えた経験のある2児パパが、総務省の資料をもとに整理しました。
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目次 CONTENTSOPENCLOSE
- そもそも、上限額はどうやって決まるのか
- 育休で上限が下がる、3つの経路
- ① 給与が止まる。しかも給付金は所得に入らない
- ② 配偶者控除が使えるようになる
- ③ 出産した年は、医療費控除も重なる
- 最悪のケース:寄付が「ただの寄付」になります
- 実務的にいちばん大事なこと
- ワンストップ特例の落とし穴
- 【2025年10月から】サイトのポイント付与は禁止されました
- 我が家は、駆け込みました
- ただし、決済側の還元は残っています
- 実は私、一度やらかしています
- 今年(育休の年)は、まだ1件も寄付していません
- 返礼品は、食品だけに絞っています
- じゃあ、いつやるのがいいのか
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
- Q. 育休中でもふるさと納税はできますか?
- Q. 育児休業給付金は年収に含めますか?
- Q. 上限を超えて寄付するとどうなりますか?
- Q. 夫婦のどちらの名義で寄付すべきですか?
- Q. 医療費控除と併用できますか?
- Q. ポイント還元はもうないのですか?
- Q. どのふるさと納税サイトを使えばいいですか?
- Q. 上限を超えたかどうかは、いつ分かりますか?
児童手当の記事を書いていて、ひとつ思い出したことがあります。
育休中のふるさと納税です。
育休のお金についてはこれまで何本も書いてきました。給付金、社会保険料の免除、住民税。でもふるさと納税だけは、調べていて「これ、けっこう危ないな」と思いながら、記事にしていませんでした。
何が危ないのか。先に結論を書きます。
育休を取った年は、ふるさと納税の上限額が大きく下がります。 前年と同じ感覚で寄付すると、超えた分は全額自己負担。しかも状況によっては、寄付しても1円も戻ってこないことがあります。
理由は、育児休業給付金が非課税だからです。
そもそも、上限額はどうやって決まるのか
「上限額」という言葉はよく聞きますが、中身を知っている人は少ないと思います。総務省の説明をもとに整理します。
ふるさと納税は、自己負担2,000円を除いた全額が控除される仕組みで、控除は3つのパーツに分かれています。
| 控除の種類 | 計算式 |
|---|---|
| 所得税からの控除 | (寄付額 − 2,000円)× 所得税の税率 |
| 住民税からの控除(基本分) | (寄付額 − 2,000円)× 10% |
| 住民税からの控除(特例分) | (寄付額 − 2,000円)×(100% − 10% − 所得税率) |
そして、ここがポイントです。
特例分は、住民税所得割額の2割が上限
つまり上限額は「住民税所得割額」で決まります。 住民税所得割額は所得に比例するので、所得が下がれば、上限も下がる。これがすべての出発点です。
育休で上限が下がる、3つの経路
育休を取ると、上限額は3方向から同時に押し下げられます。
① 給与が止まる。しかも給付金は所得に入らない
いちばん大きいのがこれです。
育児休業給付金は非課税所得です。税法上、「年収」にも「所得」にも含まれません。だから育休中に給付金を受け取っていても、税金の計算上は収入がなかったのと同じ扱いになります。
年の途中から育休に入れば、その年の所得はそのぶん下がります。1年まるごと育休なら、所得はほぼゼロです。
② 配偶者控除が使えるようになる
見落とされがちですが、これも効きます。
配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が58万円以下(給与収入なら123万円以下)で使えます。2025年の税制改正で、48万円から10万円引き上げられました。
そして先ほどのとおり、育児休業給付金は所得に入りません。 つまり配偶者が育休に入ると、その人の合計所得は一気に下がり、もう一方が配偶者控除を受けられるようになります。
税金が減るのはありがたい話です。しかし課税所得が下がる=住民税所得割額も下がるので、ふるさと納税の上限も下がります。
③ 出産した年は、医療費控除も重なる
出産した年は、医療費控除を使う家庭が多いはずです。出産費用は医療費控除の対象範囲が広く、金額もまとまります。
医療費控除も所得控除なので、課税所得をさらに押し下げます。 結果として、住民税所得割額も、ふるさと納税の上限も、また下がります。
育休・配偶者控除・医療費控除。この3つが同じ年に重なるというのが、出産・育休を経験する家庭の典型です。そして3つとも、上限を下げる方向に働きます。
最悪のケース:寄付が「ただの寄付」になります
ここが、いちばん気をつけてほしいところです。
ふるさと納税は「税金の前払い」のような仕組みです。払う税金があって初めて、そこから差し引かれます。
年間を通して育休で、給与がほとんどなかった場合。所得税も住民税もほぼかかりません。すると差し引く相手がいない。
この状態で寄付をすると、返礼品はもらえますが、戻ってくるお金はありません。 自己負担2,000円どころか、寄付した全額が自己負担です。
「ふるさと納税はお得」という前提が、育休中だけは成り立たなくなります。
実務的にいちばん大事なこと
シミュレーターを使うときの話です。
各サイトに上限額のシミュレーターがありますが、育休中は「前年の年収」を入れてはいけません。 入れるのは今年の見込みです。
たとえば4月まで育休で、5月から復帰した年。給与が出るのは8ヶ月分です。前年の年収を入れると、上限が実際の1.5倍近くに出てしまいます。
私はここが一番の落とし穴だと思っています。シミュレーターは入れた数字を疑ってくれません。
ワンストップ特例の落とし穴
ふるさと納税には、確定申告をしなくて済むワンストップ特例があります。条件は2つです。
- 寄付先が5自治体以下であること
- 寄付した年の翌年3月15日までに、住所地の市町村へ申告すること
便利な制度ですが、出産・育休の年には注意が要ります。
医療費控除を使うために確定申告をすると、ワンストップ特例は無効になります。
ワンストップの申請書を出していても、確定申告をした時点で取り消されます。確定申告のほうにふるさと納税も含めて申告し直さないと、控除が受けられません。
出産した年は医療費控除を使う可能性が高いので、最初から確定申告でまとめる前提にしておくほうが安全だと思います。
【2025年10月から】サイトのポイント付与は禁止されました
もうひとつ、知らないと損をする変更があります。
2025年10月1日から、ふるさと納税サイトが独自にポイントを付与することが全面的に禁止されました。 総務省の告示によるもので、すべての仲介サイトが対象です。
以前は「どのサイトが還元率が高いか」でサイトを選ぶ人が多かったのですが、その基準はもう使えません。
我が家は、駆け込みました
正直に書くと、我が家は2025年9月に集中して寄付しました。 10月1日でポイントが終わると分かっていたからです。
いま思えば、あれが「ポイントでサイトを選ぶ時代」の最後でした。9月の駆け込みは、我が家だけではなかったはずです。
ただし、決済側の還元は残っています
ここは正確に押さえておいてください。禁止されたのは「サイトが寄付者に付与するポイント」です。
クレジットカードの決済で普通に付くポイントは、対象外です。カード会社が独自にやっているキャンペーンも残っています。たとえば楽天ふるさと納税なら、楽天カードの「5と0のつく日」のような還元が今も使えます。
つまりサイト選びの基準は、こう変わりました。
| 2025年9月まで | 2025年10月から | |
|---|---|---|
| サイト独自のポイント | あった(各社が競争) | 全面禁止 |
| カード決済の還元 | あった | 残っている |
| 選ぶ基準 | 還元率 | 返礼品と、使っている決済 |
返礼品のラインナップは、どのサイトもだいたい同じです。だから普段使っている決済サービスに合わせて選ぶのが、いまは一番合理的です。楽天カードをよく使うなら楽天ふるさと納税、といった具合に。
そのうえで正直に書くと、いまなら楽天が有利だと思っています。
サイト独自のポイントが使えなくなった以上、差がつくのはカード側の還元だけです。楽天カードには「5と0のつく日」のようなキャンペーンが残っているので、そのぶん実質的な還元が上乗せされます。ふるさと納税だけを別のサイトで管理する理由も、もうあまりありません。
ただし、ひとつ釘を刺しておきます。これは決済の還元であって、ふるさと納税の制度とは別の話です。還元を追いかけて上限を超えたら本末転倒になります。順番は必ず、①その年の上限を確かめる → ②その範囲で、還元の良い決済を選ぶです。逆にしないでください。
実は私、一度やらかしています
偉そうに書いてきましたが、正直に告白します。私は過去に、上限を超えて寄付したことがあります。
その年、収入が例年より増える見込みがありました。だから上限も上がるはずだと考えて、いつもより多めに寄付したんです。
ところが、見込んでいた収入が、入りませんでした。
結果は単純です。上限を超えた分は全額自己負担。返礼品は届きましたが、税金は戻ってきません。ただの高い買い物になりました。
このとき学んだことが、ひとつあります。
ふるさと納税の上限は、その年が終わるまで確定しません。
上限は「寄付した年の所得」で決まります。でも寄付するのは、その年の途中です。つまり必ず見込みで判断することになる。 ここが、この制度の一番やっかいなところだと思います。
そして育休は、その見込みが外れやすい年です。復帰の時期がずれるかもしれない。時短で戻るかもしれない。給付金は所得に入らない。不確定要素だらけです。
今年(育休の年)は、まだ1件も寄付していません
2026年は年の前半が育休でした。給与が出た月が限られているので、上限が読めません。
だから今年はまだ1件も寄付していません。 年末に近づいて、その年の収入がだいたい固まってから判断するつもりです。
前は9月に駆け込んだ我が家が、今年は8月末になっても動いていない。焦って動くより、確定してから動くほうがいいと、一度やらかして学びました。
繰り返しになりますが、やらないことで損はしません。 損をするのは、超えたときだけです。
返礼品は、食品だけに絞っています
我が家が選ぶのは、肉・魚・果物といった食品です。家電や日用品に手を出したことはありません。
理由は単純で、確実に消費するからです。
子どもが小さいと、外食が減ります。そのぶん家で食べる量が増える。だから肉や魚は、届いた瞬間から食費の削減になります。果物は、子どもが喜ぶという副次効果もあります。
逆に「せっかくだから普段買わないものを」と考えると、使い切れずに終わることがあると思っています。ふるさと納税は自己負担2,000円で得をする制度ですが、使わないものを頼んだ時点で、その2,000円も無駄になります。
じゃあ、いつやるのがいいのか
育休を経験する家庭の場合、考え方はシンプルです。
フルで働いた年にやる。 育休で所得が下がった年は、上限も下がっているので無理をしない。
共働きなら、その年に多く稼いでいるほうの名義で寄付するのが基本です。ふるさと納税は寄付した本人の税金から控除されるので、名義を間違えると効果が出ません。
「今年はやらない」という選択も、まったく問題ありません。やらないことで損はしません。 損をするのは、上限を超えて寄付したときだけです。
まとめ
- ふるさと納税の上限は住民税所得割額で決まる(特例分は所得割額の2割まで)
- 育児休業給付金は非課税なので、所得にも年収にも入らない
- 育休の年は、給与の減少・配偶者控除・医療費控除の3つが同時に上限を押し下げる
- 給与がほぼない年に寄付すると、控除される税金がなく全額自己負担になる
- シミュレーターには前年ではなく今年の見込みを入れる
- 医療費控除で確定申告すると、ワンストップ特例は無効になる
- 2025年10月からサイトのポイント付与は禁止。ただしカード決済側の還元は残っている
- 返礼品のラインナップは各サイトほぼ同じ。普段使っている決済に合わせて選ぶのが合理的
- 上限はその年が終わるまで確定しない。 見込みで動くと超える(私はやらかしました)
よくある質問(FAQ)
Q. 育休中でもふるさと納税はできますか?
制度上はできます。ただし控除される税金がなければ、実質的にただの寄付になります。その年の所得を確認してから判断してください。
Q. 育児休業給付金は年収に含めますか?
含めません。非課税所得なので、税金の計算上は収入として扱われません。シミュレーターに入力するときも含めないでください。
Q. 上限を超えて寄付するとどうなりますか?
超えた分は控除されず、全額自己負担になります。返礼品はもらえますが、税金は戻りません。
Q. 夫婦のどちらの名義で寄付すべきですか?
その年に多く稼いでいるほうです。ふるさと納税は寄付した本人の税金から控除されるためです。
Q. 医療費控除と併用できますか?
併用できます。ただし医療費控除で確定申告をするとワンストップ特例は無効になるため、ふるさと納税も確定申告に含めて申告する必要があります。
Q. ポイント還元はもうないのですか?
サイトが独自に付与するポイントは、2025年10月1日から禁止されています。クレジットカード決済で通常付くポイントは対象外です。
Q. どのふるさと納税サイトを使えばいいですか?
2025年10月にサイト独自のポイント付与が禁止され、返礼品のラインナップも各サイトでほぼ同じです。普段使っているクレジットカードや決済サービスに合わせて選ぶのが、いまは一番合理的だと思います。カード決済の還元は禁止の対象外だからです。
Q. 上限を超えたかどうかは、いつ分かりますか?
その年の所得が確定してからです。だからこそ、年末に近づいて収入が固まってから寄付するほうが安全です。とくに育休を挟む年は、見込みが外れやすくなります。
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