
子ども・子育て支援金はいつまで払う?生涯45万円を計算したら、受け取りは292万円だった
2026年4月に始まった子ども・子育て支援金。年収600万円で月575円ですが、これはいつまで払うのか。答えは「医療保険に入っている限り一生」でした。75歳以降も払います。生涯の負担を計算するとおよそ45万円。対して子ども2人の我が家が受け取るのは292万円。「19年間で10万円」という説明のからくりと、「独身税」と呼ばれることへの考えまで書きました。
2026年4月から、給与明細に「子ども・子育て支援金」という項目が増えました。年収600万円の会社員で、月575円ほど。
前に書いた記事では、この金額の内訳と、育休中は免除されることをまとめました。でも、読み返していて自分でも引っかかった疑問があります。
「これ、いつまで払うんだろう?」
子どもが大きくなったら終わるのか。定年まで払うのか。それとも一生なのか。調べたら、答えははっきりしていました。
一生払います。 しかも金額は上がります。
この記事では、生涯でいくら払うことになるのかを計算します。そのうえで、受け取る側の金額と並べてみます。結論を先に言うと、我が家は完全に受け取り超過でした。でもそれは、子どもが2人いるからです。
結論:医療保険に入っている限り、一生払います
まず、いちばん大事な仕組みから。
子ども・子育て支援金は、医療保険料に上乗せして集められます。 独立した税金ではなく、健康保険料の一部として徴収される形です。
だからこうなります。
- 子どもがいてもいなくても払う
- 子どもが独立しても払う
- 会社を辞めて国民健康保険になっても払う
- 75歳以降、後期高齢者医療制度になっても払う
医療保険に入っていない人はほぼいませんから、実質的に生涯にわたって払い続けるということです。
止まるのは、育休・産休中の免除期間だけです。ここは医療保険料そのものが免除されるので、上に乗っている支援金も一緒に止まります。(詳しくは子ども・子育て支援金はいくら?に書きました)
制度ごとの金額(2026年度)
いくら払うかは、加入している医療保険で変わります。こども家庭庁が2026年3月に公表した最新の試算です。
| 加入している制度 | 2026年度の平均月額 |
|---|---|
| 健保組合(被保険者1人あたり) | 約550円 |
| 国民健康保険(1世帯あたり) | 約300円 |
| 後期高齢者医療制度(1人あたり) | 約200円 |
会社員の場合は、年収に応じて決まります。支援金率は全国一律0.23%(2026年度)で、これを総報酬にかけ、労使折半した本人負担分がこの金額です。
| 年収 | 月額(本人負担) |
|---|---|
| 200万円 | 192円 |
| 400万円 | 384円 |
| 600万円 | 575円 |
| 800万円 | 767円 |
| 1,000万円 | 959円 |
金額は2028年度まで上がり続けます
ここが見落とされがちな点です。いまの金額がゴールではありません。
支援金の総額は、法律で段階的に引き上げると決まっています。
| 2026年度 | 2027年度 | 2028年度 | |
|---|---|---|---|
| 支援金の総額 | 約6,000億円 | 約8,000億円 | 約1兆円 |
3年で約1.7倍です。年収600万円なら、月575円が2028年度には月960円ほどになる計算になります。
生涯でいくら払うのか
では本題です。仮定を置いて計算してみます。
前提:年収600万円のまま、いま35歳、65歳まで働き、85歳まで生きる。
まず、働いている間。
| 期間 | 年間の支払い |
|---|---|
| 2026年度 | 約6,900円 |
| 2027年度 | 約9,200円 |
| 2028年度以降 | 約11,500円 |
これを働く年数で積み上げると、こうなります。
| 今後働く年数 | 支払いの合計 |
|---|---|
| 20年 | 約22万円 |
| 30年 | 約34万円 |
| 40年 | 約45万円 |
さらに、退職してからも払います。
| 期間 | 支払い |
|---|---|
| 65〜74歳(国民健康保険) | 約6万円 |
| 75〜85歳(後期高齢者医療制度) | 約4万円 |
合計すると、生涯でおよそ45万円(30年働いた場合)。
※2029年度以降の支援金率は公表されていないため、総額の伸び(1.7倍)で機械的に計算しています。年収も一生同じではありません。「だいたい40〜50万円」という精度で見てください。
「19年間で10万円」という説明のからくり
ここで、ひとつ気づいたことがあります。
こども家庭庁の資料には、支援金の拠出について「19年間の単純合計は約10万円」と書かれています。その隣に、給付改善額146万円が並んでいます。10万円払って146万円もらえる、という見せ方です。
でも、この19年間というのは、子どもが0歳から18歳になるまでを切り取っただけです。
実際には、その前も払っています。その後も払い続けます。子育てが終わっても、定年しても、75歳を過ぎても。だから正確に比べるなら、10万円ではなく生涯の45万円と並べるべきです。
この点を指摘している記事をあまり見かけなかったので、ここは正直に書いておきます。
それでも、我が家は受け取り超過でした
では、45万円という数字を見てどう思ったか。
正確に並べると、こうなります。
| 金額 | |
|---|---|
| 生涯で払う | 約45万円 |
| 子ども1人でもらう(支援金による給付改善分) | 146万円 |
| 子ども2人(我が家) | 292万円 |
払うのは1人分、もらうのは子どもの人数分。 ここが、この制度のいちばん効くところです。
しかも、この146万円には児童手当の拡充分だけでなく、出生後休業支援給付・育児時短就業給付・国民年金の育児期間中の保険料免除が含まれています。papalogでずっと書いてきた制度そのものです。
現行の児童手当(平均206万円)も合わせると、子ども1人あたり352万円。2人なら704万円。対して払うのは45万円です。
低所得の方には軽減があります
「一律に取られる」と思われがちですが、軽減の仕組みもあります。
国民健康保険では、医療分と同じように低所得者軽減が行われます。夫婦と子1人の3人世帯(夫の給与収入のみ)で見ると、2028年度でこうなります。
| 年収 | 1人あたり月額 |
|---|---|
| 80万円 | 50円(7割軽減) |
| 160万円 | 200円(5割軽減) |
| 200万円 | 250円(2割軽減) |
| 300万円 | 400円(2割軽減) |
そしてもうひとつ、見落とされがちですが大事な点。国民健康保険では、子ども(18歳年度末まで)の分の均等割額は全額軽減されます。子どもがいる世帯の負担が増えないように、という配慮です。
後期高齢者医療制度でも同様に軽減があり、単身世帯(年金収入のみ)なら年収80万円で月50円です。
出典:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度における給付と拠出の試算について」(令和6年3月29日)/「子ども・子育て支援金制度について」(令和8年3月)https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001670257.pdf (2026年8月確認)
「独身税」と呼ばれることについて
この制度、ネットでは「独身税」と呼ばれることがあります。子どもがいない人も払うからです。
その指摘は、事実としては正しいと思います。ここまで書いてきたとおり、支援金は医療保険料に上乗せして集められるので、子どもがいない人は払うだけになります。ごまかしようがありません。我が家のように受け取り超過になる世帯がある一方で、確実に持ち出しになる人がいます。
そのうえで、私自身がどう考えているかを書きます。
国として子どもを増やす方針である以上、これは仕方がないと思っています。
考え方としては、年金と同じだと捉えています。年金は、いま高齢者ではない人も含めて、全員で高齢者を支える仕組みです。同じように子育て支援金は、いま子育て中ではない人も含めて、全員で子育て世帯を支える仕組みだ、ということです。
自分が高齢者になったとき、そのとき現役で働いている人たちに支えてもらう。同じ構図が、子育てについても始まった。そう理解しています。
もうひとつ付け加えるなら、私自身も独身のころは払う側でした。子どもがいない期間のほうが、これまでの人生では長かった。順番が回ってきただけ、という感覚もあります。
だから、負担そのものに文句はありません。ただ、「19年間で10万円」のように、負担が実際より小さく見える説明の仕方については、正直に書いておいたほうがいいと思ってこの記事を書きました。数字を正しく出したうえで「それでも必要な制度だ」と言うほうが、納得できる人は多いはずです。
まとめ
- 支援金は医療保険料に上乗せして集められるため、医療保険に入っている限り一生払う
- 止まるのは育休・産休中の免除期間だけ
- 金額は2028年度まで上がる。総額は6,000億円→1兆円で約1.7倍
- 年収600万円なら、月575円→2028年度は月960円ほど
- 生涯の負担はおよそ45万円(年収600万円・30年勤務・85歳までの試算)
- こども家庭庁の「19年間で10万円」は、子育て期間だけを切り取った数字
- 受け取りは子ども1人あたり146万円。払うのは1人分、もらうのは人数分
- 低所得世帯には軽減があり、国保では子どもの分の均等割は全額軽減
- 「独身税」という指摘は事実として正しい。ただし年金と同じで、全員で支える仕組みだと考えている
よくある質問(FAQ)
Q. 子ども・子育て支援金はいつまで払うの?
医療保険に加入している限り、生涯にわたって払います。子どもの有無や年齢とは関係ありません。75歳以降も後期高齢者医療制度で月約200円を払います。
Q. 子どもがいなくても払うの?
はい。医療保険料に上乗せして集められる仕組みなので、子どもの有無にかかわらず払います。
Q. 生涯でいくらくらい?
年収600万円のまま30年働き、85歳まで生きた場合の試算でおよそ45万円です。ただし2029年度以降の率は未公表のため、幅をもって見てください。
Q. 育休中も払うの?
免除されます。 医療保険料そのものが免除されるためです。ただし復帰した月の給与明細には載ります。
Q. 金額はこれ以上上がらない?
2028年度まで段階的に引き上げることが法律で決まっています。それ以降については、現時点で公表されていません。
Q. 所得が低くても同じ額を払うの?
いいえ。国民健康保険と後期高齢者医療制度には低所得者軽減があります。また国保では、子ども(18歳年度末まで)の分の均等割額は全額軽減されます。
Q. 「独身税」と言われていますが、子どもがいない人も払うのですか?
はい、払います。その意味では指摘のとおりです。ただ制度の考え方としては、年金が全員で高齢者を支えるのと同じように、子育て支援金は全員で子育て世帯を支える、という設計になっています。
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