
医療保険を解約した僕と、続けている妻|高額療養費と付加給付を調べた結論
育休中に共済を解約して医療保険をやめました。高額療養費制度があり、会社の健保には付加給付もあったからです。ただし妻の医療保険は続けています。異常分娩と不妊治療で給付を受け、その後は既往歴で新規加入を断られたからです。夫婦で判断が分かれた理由を制度の数字とあわせて書きます。
目次 CONTENTSOPENCLOSE
- はじめに:僕はやめて、妻は続けています
- そもそも医療費は青天井ではありません
- 2026年8月から金額が変わりました
- 「年間上限」が新しくできました
- ⭐ 意外と知られていない「付加給付」
- まず自分の健保を調べてください
- 働けなくなったらどうするか
- ① 傷病手当金(会社員なら公的な保障があります)
- ② 有給休暇
- ③ 生活費6ヶ月分の貯蓄
- ④ それでも足りないなら「就業不能保険」
- だから僕は解約しました
- ⭐ でも妻は続けています
- 実際に保険が出た場面が2回ありました
- 一番の誤算:入り直せませんでした
- だから「初産前に入っておく」という判断はあり得ます
- 妻もいずれ解約する予定です
- 我が家の線引き
- ⚠️ 真似する前に確認してほしいこと
- 医療費控除も忘れずに
- まとめ
- 参考・出典
- 関連記事
はじめに:僕はやめて、妻は続けています
医療保険について、我が家の結論を先に書きます。
僕は解約しました。妻は続けています。
同じ家庭なのに逆の判断をしているのは、いい加減だからではありません。調べていくうちに、男性と女性では前提がまったく違うと分かったからです。
僕が入っていたのは、生命保障と医療保障がセットになった共済でした。育休中に家計を見直したとき、生命保険と一緒に解約しています。
一方で妻の医療保険は残しました。1人目の出産が異常分娩になり、不妊治療のときにも給付を受けているからです。そして後で分かったのですが、一度そういう経験をすると、新しく入り直すのが難しくなります。
この記事では、僕がなぜ解約できたのか、そして妻がなぜ続けているのかを、制度の数字とあわせて書きます。
📌 この記事で分かること
- 高額療養費制度の自己負担上限(2026年8月改正の最新の額)
- 多くの人が知らない「付加給付」——会社の健保で自己負担がさらに下がる仕組み
- 働けなくなったときにどうするか(傷病手当金・有給・貯蓄)
- 女性が医療保険を考えるときの、男性とは違う事情
⚠️ この記事は医療保険の話です。死亡保険については別の記事に書いています。
→ 子どもがいるのに生命保険を解約した話|必要保障額を計算したら0円でした
そもそも医療費は青天井ではありません
医療保険を考える前に、押さえておきたい制度があります。高額療養費制度です。
1ヶ月に払う医療費の自己負担には上限があり、超えた分は戻ってきます。入院して100万円かかっても、100万円払うわけではありません。
2026年8月から金額が変わりました
この上限額は、2026年8月1日から引き上げられています。70歳未満の主な区分はこうです。
| 年収の目安 | 〜2026年7月 | 2026年8月〜 |
|---|---|---|
| 約1,160万円〜 | 252,600円+1% | 270,300円+1% |
| 約770〜1,160万円 | 167,400円+1% | 179,100円+1% |
| 約370〜770万円 | 80,100円+1% | 85,800円+1% |
| 〜約370万円 | 57,600円 | 61,500円 |
| 住民税非課税 | 35,400円 | 36,900円 |
厚生労働省の例では、年収約370万〜510万円の方が医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担は約9.3万円まで抑えられるとされています。
「年間上限」が新しくできました
引き上げの話だけだと負担増に見えますが、長く療養する人には有利な変更もあります。
2026年8月から「年間上限」が新設されました。月ごとの上限に達しない月が続いても、1年間の自己負担の合計が上限に達すれば、それ以降の窓口負担はゼロになります。
つまり「短期の負担は少し増えたが、長期療養への備えは手厚くなった」というのが正確な理解です。多数回該当(年4回目以降の減額)も据え置かれ、年収200万円未満の方はむしろ引き下げられています。
⭐ 意外と知られていない「付加給付」
ここが、この記事で一番お伝えしたいところです。
会社の健康保険組合には、国の高額療養費にさらに上乗せする「付加給付」がある場合があります。一部負担還元金とも呼ばれます。
僕の会社の健保組合では、1ヶ月の自己負担が2万円を超えると、超えた分が戻ってきます。
先ほどの表と比べてみてください。
| 1ヶ月の自己負担 | |
|---|---|
| 国の高額療養費(年収約370〜770万円) | 85,800円+1% |
| 僕の会社の健保組合(付加給付あり) | 2万円 |
4倍以上違います。
この場合、2026年8月の改正すら、ほとんど影響しません。国の上限が上がっても、手前の2万円で止まるからです。
まず自分の健保を調べてください
付加給付は組合健保に多い制度です。金額や条件は組合ごとに違い、2万円のところも2.5万円のところもあります。
大企業やその関連会社にお勤めなら、ある可能性が高いです。逆に、協会けんぽ(中小企業に多い)や国民健康保険には、この仕組みはありません。
医療保険に入るかどうかを考える前に、まず自分の健康保険証を見て、健保組合のサイトを確認してください。保険料を何年も払う前に、5分で調べられます。
僕はこれを知って、「入院しても月2万円で済むなら、保険はいらない」と判断しました。
働けなくなったらどうするか
医療保険が不要と考えるとき、最大の弱点は「入院費は足りても、働けない間の収入はどうする」という点です。
我が家はここを4段構えで考えました。
① 傷病手当金(会社員なら公的な保障があります)
病気やケガで働けなくなったとき、健康保険から傷病手当金が出ます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 金額 | 支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額の平均 ÷30 ×2/3 |
| 期間 | 支給開始日から通算1年6ヶ月 |
| 待期 | 連続して3日休んだあと、4日目から |
だいたい給料の3分の2が、1年半にわたって出るという理解で大きく外れません。しかも2022年1月から通算化されたので、途中で復職して再び休んでも、残りを繰り越せます。
自営業やフリーランスの方には、この制度がありません。ここは会社員と大きく違う点です。
② 有給休暇
傷病手当金は待期期間があり、金額も満額ではありません。まず有給を使えば、その間は給与が満額出ます。
③ 生活費6ヶ月分の貯蓄
我が家は生活費の6ヶ月分を、すぐ動かせるお金として確保しています。これがあると、たいていの事態は乗り切れます。保険より先に用意すべきものだと思っています。
④ それでも足りないなら「就業不能保険」
ここまでで足りないと判断するなら、検討するのは医療保険ではなく就業不能保険です。病気やケガで長期間働けなくなったときに、毎月お金を受け取る保険です。
⚠️ よく混同されますが、収入保障保険は「亡くなったとき」に毎月受け取る死亡保険の一種で、働けなくなったときには出ません。名前が似ているので注意してください。
僕は①〜③で足りると判断したので、④も入っていません。
だから僕は解約しました
整理すると、僕の場合はこうなります。
- 入院しても、健保の付加給付で月2万円で止まる
- 働けなくなっても、傷病手当金で給料の3分の2が1年半出る
- その手前に、有給と生活費6ヶ月分がある
保険で埋めるべき穴が見つかりませんでした。だから育休中の家計見直しのときに、生命保障とセットになっていた共済ごと解約しました。
⭐ でも妻は続けています
ここからが、この記事の本題かもしれません。
妻の医療保険は解約していません。理由は、実際に給付を受けた経験があるからです。
実際に保険が出た場面が2回ありました
1回目は、1人目の出産です。異常分娩になり、保険から給付を受けました。正常分娩は保険の対象外ですが、帝王切開や吸引分娩などの医療行為が入ると、給付の対象になることがあります。
2回目は不妊治療です。こちらでも給付を受けています。
つまり妻の場合、払った保険料に対して、実際にお金が戻ってきているわけです。僕とはまったく状況が違います。
一番の誤算:入り直せませんでした
そしてここが、知らないと後悔する部分です。
2人目の妊娠前に、新しく医療保険に入ろうとしました。でも、これまでの経歴を理由に断られました。
医療保険は、加入時の健康状態や過去の治療歴を申告する必要があります。異常分娩や不妊治療の経験があると、通常の条件では加入できないことがあるわけです。
「保険料が安いうちに入り直そう」と考えていたのですが、そもそも入れませんでした。
だから「初産前に入っておく」という判断はあり得ます
この経験から、我が家の結論はこうです。
女性が医療保険を考えるなら、最初の出産より前に入っておくという判断はあり得る。
特に、不妊治療を考えているなら、なおさら。
出産は、何が起きるか事前には分かりません。そして一度何かが起きると、次に入るのが難しくなる。この順番が、多くの人にとって想定外だと思います。
僕は「医療保険は基本的にいらない」と考えていますが、この一点だけは例外だと思っています。
妻もいずれ解約する予定です
とはいえ、今後の妊娠予定がなくなった時点で、妻の医療保険も解約する予定です。
医療保険が効いていたのは「妊娠・出産の可能性がある期間」だったので、その前提がなくなれば、僕と同じ判断になります。一生入り続けるものだとは考えていません。
我が家の線引き
まとめると、こうなります。
| 判断 | 理由 | |
|---|---|---|
| 夫 | 解約した | 付加給付で月2万円上限+傷病手当金+貯蓄で足りる |
| 妻(現在) | 続けている | 出産・不妊治療で実際に給付があり、入り直せないため |
| 妻(将来) | 解約予定 | 妊娠の予定がなくなった時点で、夫と同じ判断に |
「医療保険はいらない」という単純な話ではありませんでした。
必要かどうかは、性別・ライフステージ・加入している健康保険で変わります。同じ家庭の中ですら、答えが分かれました。
⚠️ 真似する前に確認してほしいこと
① まず自分の健保を調べてください
付加給付があるかないかで、話がまったく変わります。協会けんぽや国民健康保険には付加給付がありません。僕と同じ判断が、そのまま当てはまるとは限りません。
② 貯蓄がないなら、保険を先に外さないでください
我が家が解約できたのは、生活費6ヶ月分の貯蓄があるからです。高額療養費はいったん窓口で払ってから戻ってくる仕組みなので(限度額適用認定証を使えば窓口負担を抑えられます)、手元のお金がないと成立しません。
③ 解約は取り消せません
これは死亡保険のときにも書きましたが、医療保険はさらに深刻です。健康状態や治療歴によっては、入り直せません。妻の例がまさにそれでした。
「保険料がもったいない」だけで解約すると、必要になったときに戻れない可能性があります。
④ 差額ベッド代・先進医療は対象外です
高額療養費が対象とするのは保険が効く医療費だけです。個室を希望したときの差額ベッド代、先進医療の技術料などは全額自己負担になります。ここに備えたい方は、判断が変わって当然です。
医療費控除も忘れずに
もうひとつ、使える制度があります。医療費控除です。
1年間に払った医療費が一定額を超えると、確定申告で税金が戻ってきます。出産費用も対象になるので、子育て世帯には見逃せない制度です。
こちらは範囲も条件も広いので、別の記事にまとめる予定です。
まとめ
- 高額療養費制度があるので、医療費は青天井ではない(2026年8月に上限が改定)
- 組合健保の付加給付があれば、自己負担が月2万円程度で止まることもある。まず自分の健保を確認
- 働けない間は傷病手当金(給料の3分の2・通算1年6ヶ月)+有給+貯蓄で考える
- 僕は解約した。でも妻は続けている——性別とライフステージで答えは変わる
- 女性は、最初の出産前に入っておく判断があり得る。一度経験すると入り直せないことがある
- 解約は取り消せない。貯蓄と健保を確認してから判断を
保険が悪いわけではありません。足りないなら入るべきです。
言いたいのは、「なんとなく入る」「なんとなく続ける」のをやめて、一度自分の条件で確かめてほしいということだけです。我が家は確かめた結果、夫婦で違う答えになりました。
参考・出典
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
- 全国健康保険協会「傷病手当金」
- ※本記事は2026年8月時点の公開情報と、筆者自身の体験にもとづくものです。特定の保険商品の加入・解約を推奨するものではありません。付加給付の有無や金額は健康保険組合ごとに異なります。判断はご自身の状況に応じて行ってください。
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